モバイル広告の新たな波

10年前、私の父(外科医)が日頃から大事にしていたものは7つありました。それは、新聞、固定電話、ポケットベル、医学雑誌、カメラ(手術中に画像を撮影するためのもの)、古いスライド映写機、そしてダージリンティーです。そして現在、父が大事にしているのは、iPhone5とダージリンティーの2つです。

より賢く、より機能性の高い携帯端末の登場により、想像よりも早い段階で私たちの生活に変化がもたらされました。マーケティングの観点から見た場合、モバイルをユニークな媒体にする3つの要素は次のとおりです: 

  • パーソナル: 個人用デバイスであるため、デバイスが生成した全てのデータが所有者について理解するための手がかりとなります。 
  • ロケーション: パソコンやテレビとは違い、携帯電話はどこへでも持っていくため、ユーザーの行動範囲について深い洞察を得ることができます。 
  • リーチ: 70億人が暮らすこの地球上に65億以上のモバイル機器が存在していることから、2014年のある時点で、世界人口を上回る数のモバイル機器が出現することが予想されます。

これら3つの要素を組み合わせることで、モバイルは単体としてではなく、その他の従来型メディアとの関連において捉えるべき最強のマーケティング媒体となります。業界が急速な変遷を遂げている中で、いくつかの主要な傾向についてここでご紹介しておきたいと思います: 

ロケーションの持つ力は絶大です!
ニアーは、4年間以上の歳月をかけて(デバイスに搭載されているGPS機能の使用有無にかかわらず)ユーザーのロケーションを把握するための専門技術を構築し、ロケーションベース広告、すなわちスケールという最大の課題に取り組んできました。当社のテクノロジーにより、ブランドが店舗への来客を促す(マクドナルド、ピザハット、KFC、スペンサーズなどによる、購入障壁を下げ、生涯価値を高める)取組みに大きな成功がもたらされました。また、ユーザーのロケーションを把握するだけでは不十分であるということも分かりました。エンゲージメントを高めるにあたってはクリエイティブが重要な要素となります。ユーザーのロケーションに基づき、最寄りの販売店の住所、店舗からの距離、地図上の位置などの関連情報を含めるといった創意工夫をダイナミックに織り込むことができます。これらは全て、ユーザーの所在に応じて異なってくるものです。 

位置情報に基づくオーディエンス(Location Based Audience: LBA)™の再定義 
このプラットフォームの構築にあたり、当社はより大きな機会に遭遇しました。「今、どこにいるか」を知ることも有効ですが、「今までどこにいたのか」を知ることで、ユーザー行動に関してさらに深い洞察を得ることができるのです。例えば貴社が航空会社であり、頻繁な旅行者をターゲットにしたいと考えているとします。手っ取り早い方法としては、空港にいる人々をターゲットにすることです。これは従来型のロケーションベース広告において用いられてきた手法ですが、より良い方法は、過去2カ月間で5回に渡り空港を訪れた人々をターゲットとし、彼らを頻繁な旅行者として区分するというものです。これを当社は位置情報に基づくオーディエンス(Location Based Audience: LBA)™(LBA 2.0)と名付けました。あるユーザーが頻繁な旅行者であることが分かれば、その人物が(オフィス、自宅、移動中など)どこにいてもターゲティングが可能です。これは学生(日中の大学や学校)、主婦(平日の住宅地)、都市生活者(夜間の高級住宅地)やその他多くの活動セグメントについても同様です。デバイスへの行動のアトリビューション(すなわち、匿名のユーザー)には詳細なデータ(ロケーション、広告の反応率、母集団の属性)を要し、遥かに大きなスケールでターゲティングを実施することができます。これは、モバイルマーケティングにおけるロケーションの活用方法を再定義するものです。 

クリックの、さらにその先へ!  
ここ数年間においてモバイル広告は成長を遂げましたが、その支出の殆どはバナーのクリック率を上げるために費やされています。代表的なキャンペーン概要においてさえも、その焦点はインプレッション数、クリックおよびクリック単価に限定されていることでしょう。より良いターゲティング・オプションや信頼性の高いトラッキングにより、以下2つの主要な転換が起きることが予想されます: 

  • 明確な達成目標を掲げたキャンペーン: 初回クリック数のみならず、登録、電話やクーポンのダウンロード等を測定する手段として、クリック後のコンバージョン数もまた重要な指標となります。 
  • 報告と分析: クリック数やクリック単価に代えて、キャンペーンの結果報告においては、ユニークユーザー数、オーディエンスの分割、ロケーションの分割、母集団の属性等のより詳細な情報を提供する予定です。 

モバイルを世界の中心に
モバイルは引き続きデジタル広告においてわずかな割合を占めていますが、これは逆に言えばデジタル広告が広告総支出に占める割合がわずかであるということです。しかし、当社はモバイルが統合型キャンペーンにおいてますます重要性を帯びてくるものと確信しています。人々は移動中に看板を目にしながら、職場ではデスクトップの前に居ながら、自宅ではテレビを見ながらモバイルを使用しており、またパソコンよりも携帯電話を使用してソーシャルメディアにアクセスする人が増えてきています。マーケターが従来通りの支出により効果的にモバイルを統合することのできるプラットフォームがあれば、モバイルマーケティングのエコシステム全体を活性化する上で非常に役立つものと思います。 

モバイル・アドテクノロジー分野は大きな変遷を遂げており、これによりスタートアップ企業には無限の機会がもたらされることとなります。スケールに応じたデータポイントとしてのロケーションの活用は開始されたばかりですが、ユニリーバ、P&G、アウディ、マクドナルド、サムスン等のブランドと共に実施した事業は、このデータ層が発揮しうる影響力の大きさを証明するものです。今後18カ月の間に、非常に刺激的な展開が待ち受けていることでしょう。この分野における進展に今後もご注目ください。2014年が皆さんにとってすばらしい年となるよう祈っています!