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数日前、私が飛行機に乗るためにチャンギ空港にいた際、興味深いあるものが目に留まりました。高級ブランドの大きな看板を見つめていた男性が、スマートフォンに何かを打ち込んでいたのです。彼は看板を見上げ、スマートフォンに視線を戻していました、私は彼が何をしているのかを探らずにはいられませんでした。その結果分かったのは、ブランドが人々に、詳細情報を得るためのアプリのダウンロードとサポートセンターへの電話を促しているということでした。

これは、広告を目にした後にユーザーがブランドへのエンゲージメントを求めるという興味深い事例(まさに広告そもそもの意義を象徴するもの)です。しかし、ここでの課題はオフラインからオンラインチャンネルへの移行にあります。そして、ユーザーがより多くの時間をスマートフォンやタブレットに費やしてより多くのことを「知り」、「実行」するようになったために、この問題はさらに複雑化しています。ブランドが「適切な」タイミングで携帯端末に強力なメッセージを発信すれば、完全なフォローアップを行うことができ、これがコンバージョンや効果測定に影響を及ぼすのです。

従来のメディアチャンネルは消費行動にとって切り離すことのできない一部を成すものであり、今後もそうあり続けることでしょう。ですから、これらがブランドのアウトリーチにおける主要なチャンネルであるのは当然のことです。但し、Millward Brown社が発表した「アド・リアクション調査2014」が示すとおり、日本、オーストラリア、インド、インドネシア、フィリピンなどアジアの市場の殆どにおいて、スマートフォンに費やす時間がラップトップやテレビに費やす時間を上回っているのです。人々は、検索、接続、読込み、購入、売却、追跡、測定、学習およびさらに多くのことを行うために携帯端末を使用しています。これを受けた当社の課題は、「エンゲージメントを生じさせ、より円滑な購入を促すべく、いかにしてオフラインの世界とオンラインの世界を接続するか」ということです。これについて、当社は2つの異なる観点から考察しています。:

メッセージのコンバージェンス
当社のクライアントであるブランドの多くが、オフラインチャンネル、特にアウト・オブ・ホーム(OOH)メディアに関する明確な戦略を持っています。OOHメディアにおいては、ターゲット・オーディエンス、ビューワーシップおよび価格を定義するにあたり、ロケーションが重要な役割を果たしています。このことを受け、当社は「ユーザーが特定のロケーションでOOHメディアを通じてメッセージに触れた際に、当社が独自に開発したロケーションテクノロジーを活用し、ユーザーが看板に近づく度に携帯端末上で同じメッセージを強調することができたら良いのでは」と考え、市場全体において数回の試験を行いました。例えばシンガポールでは、高級化粧品ブランドが特定の戦略的なOOHロケーションにおいて強力なメッセージを発信しました。当社はそれらの正確なロケーションにおける適切な母集団をターゲットとしたモバイルキャンペーンを立ち上げました。ユーザーが看板の付近にいる時は、スマートフォン上でも同じメッセージが配信されます。さらに、そのメッセージをクリックすると、クライアントがあらかじめ定義した複数の動作(詳細を電話で問い合わせる、ソーシャルメディアでフォローする、クーポンをダウンロードする、アプリケーションをダウンロードするなど)を実行することができます。先に例を挙げて説明したとおり、デバイス上でメッセージをうまくコミュニケーションすることができれば、異なる体験を提供できるのです。

これには異なる見方もあります。テクノロジーを用いることで、どの看板やエリアの付近にいるかによって異なるメッセージを発信したり、異なる行動喚起を促したりすることができます。また、各エリアで携帯電話を通じて広告に触れたユニークユーザーを測定することもできます。これにより、各OOHメディアにおけるフットフォールをある程度把握することができるのです。こうした統合型キャンペーンを実施した結果、通常のモバイルキャンペーンに比べてエンゲージメント率が130%上昇しました。ですから、統合されたコミュニケーションについて考えを巡らせてみましょう。

オフラインデータを活用し、ユーザー行動を把握
過去数年間におけるスマートフォン機能の目覚ましい向上により、モバイル広告は新たな課題と機会に直面しています。また、単一ユーザーそれぞれが生み出すデータ量を見ても、その影響力は明らかです。ニアーでは、これらのデバイスが生成するロケーションデータを用いてユーザー行動を把握し、その意図を予測することに重点を置いています。

行動予測にあたっての従来の手法は主に、コンテンツの消費パターン(サイトへのアクセス、アプリの使用、映像の鑑賞等)を特定するというものでした。ここでは、モバイルがスケールに応じてロケーションデータにアクセスできる唯一のメディアチャンネルとしてユニークな機会を提供しています。個々のユーザーを時間の関数に見立てたロケーショングラフを思い浮かべてみてください。特定のロケーション、すなわちX軸において、平日の午前9時から午後6時までの間と午後10時から午前6時までのY軸において私が定期的にモバイル機器を見るとします。この情報を、複数のソースから得られるオフラインデータ(オフラインチャンネルを通じて収集されるセンサス・データ、POI(ポイント・オブ・インタレスト)データ、調査データ)と重ね合わせることができれば、個々の母集団の属性、民族性、豊かさ、購買行動およびその他多くの事柄について確率的推定が可能となります。また、ユーザーが基点となるロケーション(Y)および勤務地(X)を逸脱する頻度を把握することにより、その他の特性に関してより多くのことが分かります。逸脱している際の滞留時間に子供の保育所にいるのであれば親に着目し、異なる都市にいるのであれば旅行行動に着目します。それは頻繁に出張する旅行者(平日の旅行、高頻度、短期滞在)かもしれないし、観光旅行者(週末、低頻度、長期滞在)かもしれません。

ここで興味深いのは、ブランド独自の調査データからもロケーショングラフを作成し、適切なオーディエンス・セグメントを導き出すことができるという点です。例えば、アイスクリームブランドの社内調査において、購入者の多くが大学に通う学生であることを示唆している場合、このデータポイントを重ね合わせてカスタムセグメント(平日に専門学校や大学のキャンパスに通う若い母集団の属性)を作成することができます。

全体像
より重要なポイントとしては、融合がますます加速しつつあるメディア業界において、オフラインのメディアチャンネルとオフラインのデータソースをデジタルマーケティングの領域でより効果的に活用することができるということです。また、モバイルについて考察する際には、モバイル単体としてではなく、その他のメディアチャンネルとの関連性において考察する必要があります。これに関して、皆さんの意見や疑問をぜひお寄せください。また、ご興味がおありの場合はさらに詳しいご案内を差し上げます。